2011年05月22日

川上弘美「七夜物語」連載終了

 5月5日、朝日新聞朝刊に連載されていた川上弘美さんの「七夜物語」が完結した。
 わたしは一時期この小説を読む余裕すらなかったので話の筋がつながっていない部分がある。しかし、終盤は毎日読むことができた。身につまされるメッセージも多く、少し居心地が悪くなった。金の輪には苦笑せざるを得なかったが腹は立たなかった。
 連載が始まって間もない頃、ひどいタイトルの記事をここに書いてしまった。あれは感じたことをクッションを置かずに書いてしまったもので、よからぬ考えは微塵もない。
 ただ、振り返って客観するに、どうもわたしは(斎藤美奈子さんも含めた)ちょっと気になる年上の女性にきついことを言いがちなようだ。甘えの一形態だといえるだろう。これはわたしに姉がいないせいなのだろうか。
 「七夜物語」に話を戻すと、この小説はいろいろと考えさせられるところが多いよい作品だ。<文章のみによる総合芸術としての小説>を感じた。先日このブログにヒッグス粒子は光子の同位体ではないかという思いつきを書いたが、実はこの思いつきの契機となったのはこの小説のクライマックスである光と影との闘いなのである。
 仄田くんが性格を二の次にして美しい子供たちに心奪われるくだりなどは、外見と内面の美醜の二次元マトリクス問題が要素となっていて、「風と共に去りぬ」のように人間が存在し続ける限り常に向き合わねばならない普遍かつ原理的な問題をわたしたちに突きつけている、といえる。
 ヘンタイよいこにもふつうのよいこにも読んでほしい作品だ。

2011.5.22日曜
ラベル:文学 小説
posted by 堀内悟 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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