2010年02月13日

山田洋次「家族」に落涙す

 2月12日金曜日11:30から映画を見た。場所は先日「グラン・トリノ」を見た時と同じチネチッタのチネ7。作品は山田洋次監督の「家族」(1970年)。
 
 タイトルが出たときから始終涙腺がゆるみっぱなしだった。八幡製鉄所や福山のコンビナートの姿が大写しになったところで早くも泣きそうになった。高度経済成長の真っただ中に工都川崎で生まれ、育ってきたわたしにとって、あのような巨大な工場の威容は好悪の感情をさしはさむ余地がないものであり、短いとも長いともいえない現時点での個人的歴史が万感のこもる急流に変わり胸に迫る、そんな圧倒的作用を引き起こすものであった。
 目を潤ませながら、長崎の伊王島から北海道の標津をめざし日本列島を縦断する一家の長旅を見守ったが、東京の動物園で老人(笠智衆)が、まんじゅうを店員からただでもらった孫の男の子に、おまえは乞食じゃない、ほしい物があったらじいちゃんにいえ、と諭す場面で涙がこぼれてしまった。わたしの場合、離乳食を作って食べさせてくれたのも、毎晩風呂に入れてくれたのも、毎朝幼稚園に送ってくれたのも祖父だった。夜には祖父母の間に敷かれた布団でぽこねむりしたものである。この場面は祖父にまつわるさまざまな郷愁と、子供が子供でいることのなんともやりきれないみじめな気持ち、子供の時分に戻れることになったとしても実際にそうすることをためらわせる、子供ならではのいたたまれない気持ちとを再び味わわせてくれた。
 大阪では万博会場のものすごい人波。北海道に渡るときは青函連絡船。今となっては第一に記録映画として光を放っている。北海道の開拓村に行く動機が長男(井川比佐志)の個人的なものでありイデオロギーが絡んでいない点も風化を防いでいる。老いた父親を長男と次男のどちらが引き取るのかという普遍的な問題も描かれている。「男はつらいよ」のレギュラー出演者その他のなつかしい顔触れのカメオ出演シーンではにやにやする人も多いだろう。プロットの縦軸が自然と強固なものになるロードムービーの利点がよく活かされているという点も誉めることができる。
 「泣ける」ではなく「思わず泣いてしまう」よい映画だった。

 「グラン・トリノ」との共通点がひとつ。双方ともカトリック教徒の家族の物語である。

2010.2.13土曜 00:02

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ラベル:川崎市 映画
posted by 堀内悟 at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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