2010年01月28日

一部可視化は百歩後退〜取調べ全面可視化を訴える市民集会報告

 昨夜6時から東京霞が関の弁護士会館講堂クレオBCで、「足利事件の録音テープから分かる取調べの実態 〜今こそ〜取調べの可視化の実現を」という市民集会(日本弁護士連合会主催)が開かれた。
 逮捕歴はないものの、警察官に「自首しろ、自首しろ」とささやかれて身の毛のよだつ体験をしたわたしもベータブロガーのはしくれとして聴講してきた。
 
 6時すぎから宮崎誠(崎の大の部分が立)日弁連会長の開会の挨拶。これに続き、進行次第にはなかったことだが、国会議員四名、つじ恵(民主衆院)、柴山昌彦(自民衆院)、松野信夫(民主参院)、網屋信介(民主衆院)の各氏が短い挨拶をした。

 18時15分から第1部「録音テープが語る足利事件の取調べの実態」。
 18時15分から44分まで足利事件の弁護人である佐藤博史弁護士が録音テープの意義について、取調べ、菅家さんの自白・無実の訴え(手紙)の関係をふまえて解説した。
 続いて19:08まで浜田寿美男奈良女子大学教授(発達心理学、供述分析)による録音テープの心理的分析。嘘の自白をした人の告白によると自白する瞬間は、その自白によって自分がどれだけ過酷な刑罰に処せられるかということは頭にない状態だそうである。また、菅家さんが法廷においても嘘の自白を維持したことは特筆すべきことであるものの、こういうケースは稀有ではなく、まま見られるという。

 このパート2が終了した19:09にサプライズゲスト登場。鈴木宗男衆院議員が会場にかけつけ、4分間語った。

 鈴木「足利事件の佐藤弁護士にはわたしも弁護してもらってます」

 鈴木氏は、どうして足寄という小さな町から国会議員が二人も出て二人とも逮捕されるんでしょう、ととぼけ口調で会場を笑わせた後、石川知裕議員およびその関係者への取調べの実態を語った。

「逮捕の対象とはなりえない、小さな子供がいる女性秘書も過酷な取調べを受けている。証人と参考人の取調べの可視化も必要」

 19:14から19:27まで菅家利和氏が(佐藤弁護士ではない別の)弁護士との対談形式で、21日の再審公判で録音テープを聴いたときの心境を中心に可視化が必要な事情を語った。公判では自分の声を聴くうちに取り調べ中のことを思い出し気分が悪くなったという。警察の取調べでは刑事に肘をぶつけられたそうである。検察だけでなく警察の任意同行の段階から録画をするようにしてほしいと訴えた。

 第2部は「緊急報告! 布川事件再審決定!!」。
 この事件の冤罪被害者である杉山卓男(19:30〜19:36)、桜井昌司(19:36〜19:40)の両氏が自らの体験を踏まえて全面可視化の必要性を訴えた。

 杉山「一部可視化では意味がない、かえって冤罪を招く」
 桜井「一部可視化は一歩前進ではなく"百歩後退"」

 杉山氏は冤罪を防ぐためには全面可視化に加えて証拠の開示も徹底させなければならないという指摘もした。
 また、桜井氏の話には警察・検察のおそるべきショッカーぶりを如実に伝える事実が含まれており震撼させられた。桜井氏は取調べにおいて物的証拠品を触らされそうになったという。もし言われるままに触っていたら指紋が付着し、それが犯行時についたものとみなされていた可能性があると語った。わたしは物証の捏造という点で狭山事件を連想した。
 パート2は本事件の弁護人である井浦謙二弁護士による事件報告。ここでも震撼すべき事実が明かされた。この事件では取調べの録音テープが取調べ官によって編集されていたという。それを証明するために音声分析の専門家による科学調査が必要であった、一部可視化ではこのような悪事があった場合に記録の証拠性の否定が困難を極めてしまうという訴えだった。
 桜井氏が語気を荒くして取調べをする側をののしっていたのも当然であるとわたしは思った。

 第3部は「えん罪被害者からの報告」
 パート1では志布志事件の冤罪被害者、川畑幸夫(さちお)(19:50〜19:54)、藤山忠(すなお)(19:54〜19:58)の両氏の取調べの体験談。
 パート2は富山・氷見事件の柳原浩氏の体験談。

 柳原「(犯行現場の見取り図を書かされた時は)あらかじめ鉛筆で書かれていた線をボールペンでなぞらされ、書き終わった後、消しゴムで鉛筆の線を消させられた」

 8時2分から5分間、日弁連取調べの可視化実現本部副本部長の小坂井久氏のまとめ。
「取調べの全面可視化なき状態での裁判員制度は片肺飛行のようなもの」

 8時8分から2分間、日弁連副会長の川崎達也氏の閉会挨拶があり集会が幕を閉じた。
 川崎「わたしもB型の分泌型、しかも年齢は菅家さんと同じ、事件当時足利にいたら菅家さんの二の舞になっていたかもしれないと考えると他人事ではなかった」

 この集会の政治的性質にあえてふれると、自民党はいろいろと屁理屈をいって可視化を阻んできた。政権交代が果たされた今こそ絶好の機会である、がんばろう!という雰囲気だった。冤罪被害者の発言からも自民党への恨み節が聞こえた。
 ただ、政府は現時点では今国会において取調べ全面可視化を目指していないという。そのため取調べの全面可視化を実現する議員連盟が今日の午前11時に総会を開く予定だという。民主党の政策上の苦戦の原因は消費税増税の凍結にあるが、取調べ全面可視化は増税が不要な事案である。早急に実現の意思を固めてほしいものである。

2010.1.28木曜

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posted by 堀内悟 at 09:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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